【厨房の革命】スチコンで失敗しない!朝食ビュッフェやバイキングで使えるフレンチトースト

厨房の救世主ともいえる「スチコン(スチームコンベクションオーブン)」

この高性能な調理機器はフレンチトーストとも驚くほど相性がいい。

ホテルの朝食やバイキングメニューなどで利用されているスチコンでのフレンチトースト。

焦がさず、ふわとろ食感を安定して大量に出せるスチコンでのフレンチトーストは調理の革命である。

今回は、スチコン調理歴10年以上の筆者が、現場で実際に使える失敗しない黄金比レシピや応用方法を紹介する。

厨房での人手不足対策や味の安定、さらには売上アップの導線強化まで幅広くお役立ていただきたい。

スチコンでフレンチトーストを作るメリットとは?

厨房において、スチコンは「調理の失敗を減らし作業負担も軽くする」革新的な機器である。

特にフレンチトーストのように火加減や食感が命のメニューにおいて真価を発揮する。

スチコンを活用することで得られる具体的なメリットを3つの視点から解説する。

火加減の失敗がなく、誰でも安定した仕上がりに

フレンチトーストは火加減が命だ。

しかし、現場では「片面だけ焦げる」「中が半焼け」「ふわとろにならない」といったことが起きやすい。

だがスチコンであれば、こうした失敗とは無縁になる。

ポイントは以下の通り

  • 焦げ付きなし:スチコンは熱を均一に循環させるため、特定箇所だけ過熱されることがない。火が通りすぎて焦げる心配がない。
  • ふわふわに焼ける:加湿機能があるため、水分を保ったまま加熱ができパンが乾かない。牛乳と卵の風味が中にしっかり残る。
  • 誰が焼いても同じ品質:温度と湿度を数値で管理できるため経験や技術に関係なく誰でもいつも通りの仕上がりが出せる。

これはホテルやレストランなど、調理スタッフのスキルにばらつきがある現場においては極めて大きな安心材料である。

大量でも味がブレにくい

フライパンでフレンチトーストを焼こうとすると一度に2〜3枚が限界である。

しかも、スタッフによって焼き加減にムラが出る。

しかしスチコンであれば

  • 一度に30〜50枚(機種によってはそれ以上)の調理が可能
  • 加熱ムラがないため、すべてのトーストが同じ焼き色・同じ食感
  • バットごと並べて一括調理ができるため作業効率が大幅に向上

結果として、提供するフレンチトーストの品質が常に一定になる。

これは「いつ食べても同じおいしさ」という信頼感に直結する。

とくにホテルの朝食ビュッフェやバイキングでは重要なポイントだ。

洗い物が少なく、現場が楽になる

調理師にとって片付けのしやすさは見逃せない。

スチコン調理は調理効率だけでなく洗い物の量にも直結する。

具体的には

  • フライパン不要:フレンチトーストの調理で一般的なフライパンは一切使わない。焦げ付きや油はねの掃除も不要。
  • バットごと調理可能:漬け込み液に浸したパンをバットに並べ、そのままスチコンに投入するだけでよい。
  • 作業台も汚れにくい:調理工程がシンプルになり厨房全体の清掃負担も軽減。

これらは人手不足の現場や朝食準備で時間が限られているケースにおいて大きな助けとなる。

実際のスチコン用レシピ:ふわとろ黄金比のフレンチトースト

スチコンでフレンチトーストを作るなら家庭用の感覚では通用しない。

液の量も、加熱時間も、そして仕込みの手順も、スチコンならではのポイントがある。

ホテルやレストランなどでそのまま使える「スチコン向けの黄金レシピ」を公開する。

基本の漬け込み液:牛乳・卵・砂糖の黄金比

スチコン調理では、「液を吸わせすぎてベチャつく」「焼くと中まで固まらない」といった問題が起きやすい。

だからこそ、漬け込み液の「濃さと量」が決め手になる。

おすすめ黄金比(約15〜20枚分の目安)

  • 牛乳:1000ml
  • 卵:10個(M玉)
  • 砂糖:100〜150g(甘さは用途により調整)
  • バニラエッセンス、塩:お好みで少々

吸わせ方のコツ

  • 厚切り(3cm程度)の食パンを使用
  • バットにパンを並べ、液を上から均等に注ぐ(ひたひた以下でOK)
  • ラップを密着させ、途中で1回上下を返して吸わせムラを防止
  • 吸わせ時間は冷蔵庫で30分~1時間程度が目安

液量が多すぎると焼いたときに中が流れてしまうのでパンの8割が液に触れる程度で十分だ。

スチコンの設定温度と時間

フレンチトーストをスチコンで焼く場合、ポイントは「中まで火が通っても、ふわっとした食感を保てる設定」にすること。

基本の設定(コンビモード)

  • モード:コンビモード(加湿あり)
  • 温度:180℃前後
  • 湿度:40〜60%程度
  • 時間:10〜12分前後(パンの厚さ・機種により調整)

※上下の段で焼き色に差が出る場合は、途中で前後・上下を入れ替えると均一に仕上がる。

焼き色を出したい場合の仕上げワザ

  • 最後にホットエアー・200℃で2〜3分追加加熱
  • または、焼成後にバーナーやサラマンダーで軽く表面を焼く

こうすることで、ふんわり中はとろとろ外は香ばしく焼き上がる。

プロの裏ワザ:前日仕込みと保管のコツ

大量に用意する場合や朝が早い現場では、前日仕込みが欠かせない。

ただし、漬け込みすぎるとパンがふやけて崩れる原因にもなる。

ここで重要なのは「吸わせてから、すぐに冷やす」ことだ。

前日仕込みの流れ

  1. パンに液を吸わせたら、すぐにバットごと密閉ラップでカバー
  2. 冷蔵庫で一晩保管(5℃前後)
  3. 翌朝、室温に10〜15分ほど戻してからスチコンへ投入

こうすると、パンが崩れずにしっかりと形を保ちながら内部にはじゅわっと味が染み込んでいる。

しかも朝の仕込みが時短できるので早朝勤務でも余裕ができる。

フレンチトーストの漬け込み時間で食感が変わる

先ほど前日に仕込めが余裕ができると伝えたが、注意してほしいことがある。

フレンチトーストは漬け込む時間で仕上がりが変化する料理なんだ。

漬け込み時間の長短にはそれぞれ明確なメリットとデメリットが存在する。

短時間で浸す:時短だが吸収が浅い

特徴

  • 表面だけが卵液を吸収し、中心部はパンのまま残る
  • 外は香ばしく、中はややもっちりとした食感が残る
  • 調理時間を短縮したい大量調理・時短提供向け

短時間浸しのメリット

  • 調理時間の時短に最適(仕込み即焼成)
  • トースト本来の食感が残る(サクサク派に好まれる)
  • パンが崩れにくく、盛り付けがしやすい

短時間浸しのデメリット

  • 卵液の味が中心まで染みない
  • パンの種類によっては「ボソボソ」した食感になりやすい
  • 均一な味を出すには技術が要る(特に厚切りパン)

長時間で浸す:中までしっとりだが崩れやすい

特徴

  • 卵液がパンの内部までしっかり染み込み、とろけるような食感になる
  • スイーツ系のフレンチトーストに多く採用される方法
  • 厚切りパンやブリオッシュなど吸収力の高いパンに最適

長時間浸しのメリット

  • 味がパン全体に染み渡り、濃厚な風味が楽しめる
  • 食感がとろとろ・しっとりに仕上がる
  • 冷蔵庫での前日仕込みが可能 → 現場での作業分散に向く

長時間浸しのデメリット

  • パンの構造が崩れやすく、焼成時に形が崩れることがある
  • 表面が焼きにくく、水っぽくなりやすい(特にスチコン未使用時)
  • 吸い込みすぎた卵液が流出し、見た目を損ねるリスク

理想の浸し時間は「目的別」に使い分けよ

どちらもメリットデメリットがあるから、目的によって使い分けてくれ。

短時間の漬け込みの方が崩れにくく提供するのが簡単ではあるが、前日から準備が出来ないので大変ではある。

加熱の具合も多少は変化してくるから、ぜひ試しに両方とも調理してみれてくれ!

甘くない!おかずフレンチトーストで食事メニューに格上げ

フレンチトースト=甘いもの、というイメージが強いと思うが、調味料の配合を変えるだけで食事系にも化けることができる。

ベーコン・チーズを使ったおかず仕様のフレンチトーストを紹介する。

黄金比を食事用にアレンジ!漬け込み液はこう変える

通常のフレンチトーストは、

  • 牛乳:卵:砂糖=2:1:0.2(甘め)

だが、おかず用にするならこう変えるのがポイントだ。

《おかず用漬け込み液:基本配合(4人前)》

  • 卵…3個
  • 牛乳…200ml
  • 塩…小さじ1/3
  • 黒こしょう…少々
  • 粉チーズ…大さじ2(※コクと旨味が加わり味が締まる)

砂糖は一切使わず、粉チーズ+塩こしょうで旨味を立てる構成に。

特に粉チーズを入れるとパン全体にコクが広がって冷めても味がぼやけないぞ。

トッピングで「おかず感」を演出せよ!ホテルの朝食に最適

食事として成立させるなら、トッピングもシンプルかつボリュームのあるものを。

パンとの相性・彩り・ボリューム感を意識した選定である。

推奨トッピング例(単品 or 組み合わせ)

  • ベーコン(事前にスチコンでカリカリに調理可)
  • ピザ用チーズ(パンに乗せて溶かすことで旨味UP)
  • トマトスライス or ピクルス(酸味で全体を引き締める)
  • パセリ or バジル(香りと彩りの演出)

アレンジ例:カフェ風モーニングプレートにも

このおかずフレンチトーストは、ワンプレートで主役になります。

  • サラダ+スープで「朝食セット」
  • 半熟卵で「ブランチメニュー」
  • 小さくカットして「オードブル」にも展開可能

甘くないことで料理全体のバランスが取りやすく盛りつけも自由度が高いのが魅力です。

まとめ:スチコン×フレンチトーストで厨房をもっとラクに・楽しく!

スチコンで作るフレンチトーストは、ただ美味しくできるだけじゃない。

「誰でも」「安定して」「効率よく」が同時に叶う、現場目線で超優秀な一手だ。

特に…

  • 焦がさない・失敗しない → 火加減の不安ゼロ
  • 大量でも味がブレない → 品質の安定
  • 洗い物や手間が減る → 人手不足の現場でも戦力化できる

というスチコンの強みが、フレンチトーストとの相性抜群だったのはもう言うまでもない。

それから、フレンチトーストの魅力はアレンジの幅と盛りつけ映えの良さにある。

季節のフルーツと合わせたり、断面を見せて盛りつけを豪勢にしてSNS映え狙いをしてもよい。

「朝食の主役」から「販促の武器」へ、使い方次第でいくらでも化けるメニューなんだ。

つまり、フレンチトースト1品の改善が、厨房の効率化→商品力強化→集客→利益アップという全体最適に直結する。

ぜひチャレンジしてくれ!

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