スチコンでパスタを茹でる裏ワザ!時短・ムラなし・失敗ゼロのプロ技とは?

忙しい厨房で、茹で時間にずっと付きっきりになるのは非効率である。

特に多くの料理を用意する現場では、ひとつの調理にかける時間や人手を最小限に抑える工夫が求められる。

そこで注目すべきがスチコンを使ったパスタの茹で方である。

ホテルビュッフェやレストランなどで実践されているこの手法は、効率だけでなく仕上がりの安定感も抜群である。

今回は、スチコンでパスタを茹でる基本や注意点などを実務経験に基づいて詳しく解説していく。

スチコンでパスタを茹でるってどういうこと?

スチコンでパスタを茹でると聞いて「え、鍋を使わないの?」と驚く人も多いだろう。

だが実は、この方法こそ現代の調理現場が求める時短・安全・高効率の三拍子そろった調理法である。

そもそも「茹でる」ができるの?

スチコン(スチームコンベクションオーブン)とは、蒸気と熱風を組み合わせて加熱する調理機器である

これにより「擬似ボイル」つまり鍋で茹でたのとほぼ同じ仕上がりが再現できる。

実際には、ホテルパンに乾麺と水、塩、油を入れてスチコンに投入するだけでよい。

蓋をして蒸気を満たせば、まるで鍋でぐつぐつと煮ているかのような仕上がりとなる。

未来の厨房では、鍋を使わない調理がスタンダードになるかもしれない。

それほどこの技術は実用的であり、再現性が高いのである。

こんな現場におすすめ

スチコンでのパスタ調理が特に力を発揮するのは、以下のような「時間・人手・安全性」が問われる現場である。

  • ホテルビュッフェやレストラン:大量のパスタを同時調理できる。火の前に立ちっぱなしにならず、安全性も高い。
  • ランチ営業が忙しい飲食店:仕込みの段階で下茹でしておけば、営業中は温め直すだけで提供可能。
  • ケータリングやイベント:同じ仕上がりを安定して量産できるため、味のブレがない。

スチコンは、一台で複数の調理工程をカバーできるのも強みである。

効率性を重視する厨房には、もはや欠かせない存在となっている。

基本の手順【スパゲティ・マカロニ対応】

スチコンでパスタを調理する際の最大の魅力は「工程が簡単で再現性が高い」点である。

慣れてしまえば、誰でも安定した仕上がりを出せるため、厨房の標準オペレーションとして導入する価値がある。

実際にスパゲティやマカロニをスチコンで茹でるための基本的な手順について、準備物・設定・調理手順を段階ごとに解説する。

準備するもの

以下の材料と道具を揃えれば、スチコンでのパスタ調理にすぐ取りかかれる。

特別なものは必要なく、基本的な設備があれば十分である。

  • ホテルパン(フチ付きバット):深さが65mm以上あれば理想的。ステンレス製でもノンスティックでも可。
  • 食用油(サラダ油・オリーブオイルなど):焦げ付き防止と麺のくっつき防止のため。
  • :加熱中の味付けおよび水の沸点上昇による茹で効率向上。
  • :乾麺全体がしっかり浸る程度。ひたひたより1cm程度上を目安に。
  • 乾燥パスタ(スパゲティ・マカロニなど):一般的なデュラムセモリナ小麦製のパスタで問題なし。

重要なのは、水の量をケチらずしっかり使うことと、ホテルパンのサイズに合った麺量に調整することである。

特に麺が重なりすぎると、ムラや芯残りの原因となるので注意が必要だ。

スチコン設定例

スチコンのモデルにより若干の差はあるが、以下はあくまで汎用的な設定の目安である。

基本をおさえておけば、あとは現場のパスタや量に応じて微調整すればよい。

  • モード:コンビモード(スチーム+熱風)
  • 温度:140℃
  • 蒸気量:最大(100%)
  • 加熱時間:15分(※予熱時間は別途確保)
  • ファン速度:標準または中(機種により設定可能)

この設定により、パスタは「焦げず」「ムラなく」「吹きこぼれゼロ」で仕上がる。

放っておくだけで完了する手順

スチコン調理の魅力は「人の手がほとんど要らない」点にある。

現場で実際に行っている「誰でもできるスチコンパスタ調理」のステップを紹介する。

ステップ一覧:

  1. ホテルパンに油を塗る
     → パスタのくっつき防止。特にパンの底や四隅は念入りに。
  2. 乾燥パスタ・水・塩を入れる
     → パスタはなるべく水平に平らに並べる。水は全体が浸る量+1cmが目安。
  3. フタをして予熱140℃で15分間
     → あらかじめスチコンを設定温度までしっかり上げておくことが重要。
  4. 予熱が完了したら投入→15分加熱で完成!
     → タイマーで管理できるため、人は他の作業に集中できる。

この手順なら、誰が担当しても仕上がりが安定する。

パスタ調理も「再現性と省力化」が鍵である。

習得すれば、厨房オペレーション全体の生産性が大きく向上するだろう。

鍋で茹でるのとここが違う!スチコンパスタのメリット

パスタ調理と言えば、これまでは大きな鍋にたっぷりの湯を沸かし、火加減と吹きこぼれを気にしながら麺を茹でる…という手間のかかる作業が常識だった。

しかし、スチコンを活用すれば、その常識が覆る。

鍋での茹で調理と比べた際のスチコン調理の優位性を、厨房のオペレーション視点から明確に示す。

火元から離れてもOK → 同時作業できる

スチコンは自動加熱+タイマー管理が基本であり、調理中に火の番をする必要が一切ない。

これにより、スタッフは調理の間に仕込み・洗浄・盛り付け作業など他の工程に集中できる

特に複数人が同時作業をしている現場では、火元から離れて作業できることは非常に大きなメリットである。

麺を混ぜなくてよい → 人手が不要

鍋調理では、パスタ同士のくっつきを防ぐために頻繁にかき混ぜる作業が必要となる。

だがスチコン調理では、ホテルパンにしっかりと水と油を入れて加熱することで麺がくっつくこともない

そのため、人がつきっきりになる必要がなく人件費や労力を大幅に削減できる

吹きこぼれ・焦げ付きゼロ

鍋での調理では吹きこぼれや焦げ付きによる清掃の手間が課題となる。

だがスチコンでは、ホテルパン内に閉じ込められた水分が均等に加熱されるため、鍋のような高温・高圧状態が起きず吹きこぼれの心配がない

後片付けの時間と労力が大きく減るのも魅力のひとつである。

大量調理に最適 → 業務効率が跳ね上がる

鍋調理では、一度に茹でられるパスタの量に制限がある。

だがスチコンなら複数のホテルパンを同時に加熱できるため、一度に10kg以上の乾麺を均一に調理することも可能である。

ホテルの朝食など大量提供が求められる現場では絶大な威力を発揮する。

よくある失敗とその対策

スチコンでのパスタ調理は便利で効率的だが、「入れて加熱すれば完成」と安易に考えると、思わぬ仕上がりの差が出る

現場でよく見られる2大失敗パターンと、それぞれに対する具体的な解決策を示す。

麺の量が多すぎてムラになる

→ 一度に入れすぎず、均等に並べる

■原因

乾麺を一度に大量に入れてしまうと、ホテルパン内で麺同士がくっついたり、上下で火の通りに差が出たりする

特に、ホテルパンが満杯の状態になっていると蒸気の回りが悪くなり加熱ムラが発生しやすい

■対策

  • 乾麺の目安量は、1/1ホテルパンあたり500~600gまでに抑えるのが理想である。
  • 麺はなるべく横に広げて、重なりを少なく配置する。
  • どうしても量が必要な場合は、ホテルパンを2段に分け、コンビモードのファン強設定で蒸気をしっかり回すこと。
  • 加熱後、すぐに麺を全体的にかき混ぜてほぐすとムラを防げる。

水が少なくて芯が残る

→ ひたひたより少し多めが安全

■原因

スチコン調理では蒸気と熱風を使って加熱するため、鍋での「たっぷりの湯」に比べて水の量が少なめでも調理可能と思われがちである。

しかし、水が少なすぎると、麺全体が水分を十分に吸収できず芯が残ったり一部が硬いままになったりする

■対策

  • 「ひたひた」ではなく「ひたひた+100~200ml」程度の水量を確保する。
  • 使用するパスタの種類(スパゲティ/マカロニ)や太さによって、水分吸収率が異なるため、事前にテストをしてベストな水量を把握しておく
  • 麺の種類別・グラム別の水量目安をシート化して厨房に掲示すると、新人でも失敗しにくい。

まとめ:スチコンはパスタに「段取りの自由」をくれる

スチコンを導入するメリットは、「効率だけでなく、味も妥協しない」という点。

パスタのような茹で時間・火加減に神経を使う料理ほど、放置できる安心感と仕上がりの安定感は大きい

  • 火加減の管理
  • 沸騰のタイミング
  • 茹で時間の正確さ
  • 吹きこぼれや焦げつきのリスク

こうした細やかな配慮が求められる調理工程においてスチコンの存在は心強い。

そして、スチコンの本領発揮はこれだけでは終わらないんだ。

パスタだけでなく、具材やソースの調理も同時にできるという裏ワザもある。

たとえばナポリタンなら、パスタを茹でながらウィンナーやピーマンに玉ねぎなどの具材も一緒に加熱。

スチコン一台で一皿まるごと仕上げることも夢じゃない!

もちろん、この同時調理テクニックついても奥が深い。

次回のブログでは、具材やソースをスチコンで調理する裏ワザを徹底解説していくから楽しみに待っていてくれ!

段取りに追われて余裕を失うのではなくスチコンの力で自由な段取りを取り戻す。

それが、プロの厨房に求められるスマートな時代の選択肢です。

楽しみに待っていてくれ!

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